水玉模様
気が付けば、あたしの目は篠田くんを追い、篠田くんの目の中にあたしが映る瞬間を、嬉しく思う様になっていった。


好き―――…。

ただ、それだけ…。

それ以上でも、以下でもないーーー。

“沙耶香”って、篠田くんの何なの?

はぐらかす篠田くんに、その答えを聞けたらどんなにいいか…。

でも篠田くんのあんな顔は、もう見たくなかった…。

きっと、踏み込まれたくない領域が、そこにはあると思うから。

あたしはこれからも、見ているだけかもしれないけど…。

好きーーーただ、それだけだから。

でもきっと、それだけで終われないのが…恋。


この関係が途切れてしまうことも知らずに…楽しくても切なくても、水玉模様を描き続けていく…。

マンガや小説の中によく出てくる言葉をもらうならーーー運命のイタズラ。

雲に隠れて篠田くんの事を想っていたのが、間違いだった。

雲はいつか……晴れてしまうから。


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