水玉模様
篠田くんが優しくふんわりと笑顔になってーーー冷たい風に、髪の毛が揺れていた…。

「俺が事故ったって聞いて、来てくれたんでしょ?超嬉しいし。」

「…。」


だめ…。

篠田くんには森さんが居る…期待させる様なこと言わないで。

「篠田くんも、ありがと…。」

篠田くんへの想いが弾け飛んでしまいそうで、あたしは思わず下を向いた…。

あの日ーーー駅であんな別れ方をして、充也にはちゃんと話するとか言ったけど、結局キッカケをつくれないままだった…。


このままでいいの…?

せっかく充也がつくってくれたこの場で、気持ちを伝えなくていいの…?

森さんがいても、あたしが篠田くんを好きな気持ちには変わりない。


”あたし、工藤センパイのこと…好き。”

”和紗ちゃんと…付き合うことにしたんだ。”

和紗と瞬ーーーあたしに打ち明けるの、きっとかなり勇気が必要だったはず…。

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