水玉模様
「あ…そっか。」

「そっか…って。はぁ~っ。とにかく!俺は離れますから。」

そう言って立ち上がろうとする工藤瞬のTシャツの裾を、気が付いたら掴んでいた…。

「和奈姉…?」

「…いい、よ?」

「…。」

「いいよっ…。」

あたしは、Tシャツの裾を更にぎゅっと掴んだ。

「和奈姉……。」

「……。」

急に恥ずかしくなって、工藤瞬と目が合わせられないあたし。


篠田くんへの気持ちは変わらないけど。

でも…。

でも、工藤瞬を受け入れたいという気持ちも…どこかにあるのかもしれない。

それとも、ただの現実逃避かな。

「ホントに、いいの?」

あたしの目の前に座りなおした工藤瞬に対して、静かに頷いた――…。

そして、覚悟を決めて工藤瞬の目を見たあたしに、いつもの人懐っこい笑顔を見せてくれた…。


< 63 / 358 >

この作品をシェア

pagetop