水玉模様
「何もなかったって、さっきも言ったでしょ。」

「やっぱジュースおごり返してもらうぅ~ッ!」

「あはは。」

「…瀬口と平川、お前ら席離れたいか?」

『すいませ~ん。』

担任の注意に、ハモって謝るあたし達。


空は、どこまでも青かったーーー…。

所々、雲がさえぎってはいるけど…青は、青を貫こうとしているみたいだった。

「変なトコに連れ込まれたりとかも、大丈夫だったぁ?」

さっきよりも小声で、あやねが話しかけてきた。

「だからー。すぐ帰ったってば。それに…。」

「それに?」

「…なんでもない。」

「あーっ、また隠し事ぉ?」

「また、って?」

「瀬口の好きな人ぉ。あやねまだ聞いてないし。」

「そのうちね。」

あたしはあやねに一言だけ返事をしてから、頬杖をついて軽く笑った。


それにーーー…。

工藤瞬は、そんなヤツじゃない…。

それだけは、あたしが保証する。


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