誰も知らない、君に釘付け。〜彼の隠れた裏の顔〜
「うん……って、どうして知ってるの?」
「だって俺、今日ずっと栖和さんのこと見てたから」
「え?」
な、何、それってどういう意味…?
硬直する私を見て、夏木くんは首を傾げた。
「ごめん、俺……
何か変なこと言った、かな?」
も、もしかして無自覚!?
それとも今まで男子と関わらなかった私に、免疫がないだけ!?
ダメだ、顔が熱くなってきた。
「ご、ごめんね。私なんかが隣の部屋で…」
慌てて話を変える私に、夏木くんは柔らかく笑った。
「ううん、むしろ栖和さんで良かったかも」
「……え?」
「だってさ?」
瞬間、夏木くんの手が私の腕に触れ、そのまま優しく引き寄せられた。
「な、夏木く」
「ほんとの俺を知っても、
誰かに言える勇気なんて、ないだろ?」