誰も知らない、君に釘付け。〜彼の隠れた裏の顔〜
「な、なに言って…」
「探してた。
栖和みたいな、俺や周りのことを知らないし、知られてない奴」
───探してた。
その言葉に、なぜかきゅんとしてしまう。
って、ダメだって私!!
今まで恋愛に縁がなかったからって、ここはときめいていい場面じゃない。
「じ、じゃあ、さっきまでの夏木くんは…」
「あんなの忘れろよな。ほんとの俺は、こっち」
う……さっきと夏木くんの雰囲気が違う。
「んじゃあ、それだけだから。
これからよろしくな、栖和さん?」
意地悪く口角を上げた夏木くんに、私は何も言えなかった。