誰も知らない、君に釘付け。〜彼の隠れた裏の顔〜
沈黙の中、テレビと時計の針の音が、部屋に響いていた。
……あ、夏木くんの髪。
茶色くて、すごく綺麗だなあ。
昨日は、こんなに近くで見れなかったから。
心なしか、いい匂いがするような……
って私!変態じゃないんだから!!
……でも、いい匂い。
シャンプー何使ってるんだろう…?
無意識に、夏木くんの髪に顔を近づけていた。
「そういえば、栖和って」
「!!」
振り向いた夏木くんの赤い瞳と、ばっちり目が合った。
ち、ちちち近いっ!
「……も、もうおしまいっ」
「は?」
慌てて立ち上がり、私は猛ダッシュで部屋から出た。
「……な、なんなんだよ」