誰も知らない、君に釘付け。〜彼の隠れた裏の顔〜
部屋に入り、扉に寄りかかってしゃがみ込む。
「何やってるの、私……」
人の匂いを嗅ぐなんて、変態のすることだよね!?
いや、男子にするってことがまず……
───ガチャ
「わっ…」
いきなり扉が開いて、バランスを崩して尻もちをつく。
「な、夏木くん」
うわあ……すごく面倒くさそうな顔してる。
「な、何……!」
声を上げると、ペットボトルが振ってきた。
これって……?
「……いらないなら、返せ」
「い、いるっ!」
急いで返事をして、私はペットボトルを握りしめた。
もしかして、さっきのお礼……?
ちゃんと優しいとこもあるんだな……
「あ、ありがとう」
「……なんで逃げたとか聞かないけど、
俺、女子に興味無いから…安心しろ」
「……え?」
腕を組んで、すました顔で私を見下ろす夏木くん。
その顔は、冗談を言ってるようには見えなかった。