誰も知らない、君に釘付け。〜彼の隠れた裏の顔〜
「今日、ずっとスマホ見てるけど……
大丈夫?」
「う、うんっ」
返事をする私に、紗奈はゆっくり首を振る。
「さすがに、一緒にいると分かってくる」
いつになく真面目な顔に、目が逸らせない。
「あーそっか!
私は頼りないから、話す必要なんてないもんね…」
両手を顔に当て、紗奈は鼻をすすり出した。
きょ、今日の紗奈、ものすごく起伏が激しい!?
「そ、そういうわけじゃないんだけど…!」
「じゃあ、話してくれる?」
どうやら嘘泣きだったようで、指の隙間からちらりと顔を覗かせていた。
……いいのかな、話しても。
さすがに、夏木くんの名前を出す気は無い。
教えてくれないけど……きっと、ちゃんとした理由があるはずだから。
だから、間接的に話すくらいは……
「うん、実は…」
「なに話してるの?」