誰も知らない、君に釘付け。〜彼の隠れた裏の顔〜
紗奈を見送った後に、私も帰ることにした。
靴を履いて、グラウンドを歩き、正門を通り過ぎた瞬間。
……ん?
ふと、視線に入った女の人。
慌てて振り返って、目を見開く。
あれ、この人ってもしかして、この間屋上で見た……
俯いてイヤホンをしてるから、私には気づいてない。
……うん、何度見ても間違いない!
「あ、あのっ」
って、思わず声掛けてしまった……!
とんでもない自分の行動に、一番驚いてるのは私自身だった。
イヤホンを外した目の前の人は、私を見上げて笑った。
え、笑っ…
「何か用かな?」
「あ、あのっ……はい!」
ぜ、絶対変な人だと思われた!!
「いきなり声掛けられるなんて、びっくりだよ」
……あれ?
大人っぽいのに、気さくに笑う女の人。
こういうの、ギャップっていうのかな…?