誰も知らない、君に釘付け。〜彼の隠れた裏の顔〜
「…で、ここを真っ直ぐ行って、曲がったら着くから」
「す、すぐそこだったんだ…」
私が変質者だとかなんとか思ってた相手は、
困ってるのを見て、わざわざ声を掛けてくれた優しい人だった。
真っ赤な瞳が、とても澄んでいて……
明るい茶髪は、太陽に照らされきらきらと光っていた。
「それじゃあ、俺はちょっと寄り道して行くから、これで」
「あ……ありがとう、ございますっ」
「うん、また会えるといいね」
え、笑顔が眩しい……!
あんなカッコいい人がいるんだ。
世間って、狭いんだなぁ。
───キーンコーンカーンコーン…
!!!
「あああ、遅刻だっ」
私は言われた道に沿って、学校へと全力で走った。