二度目は誠実に
よろしくと言うのは簡単だ。
でも、なんだかんだ言っても拓人は一週間後に総務部からいなくなる。拓人がいなくなったあとのことを考えると頭が痛くなる。
沙弓はこめかみを押さえてテーブルを見ていた視線をあげ、拓人を真っ直ぐ見る。
「ハッキリ言って、内田くんのことまでは面倒見れません。まあ、でも、内田くんはやる気満々ですから、本人に任せたらいいんじゃないですか? それで失敗したとしてもそれも一つの経験ですし。まあ、気が付いたら声はかけるようにしますけど」
「さすが、谷! 谷がいてくれるだけで俺は安心して人事部に行けるよ。じゃ、よろしくねー」
拓人が右手を差し出すから、沙弓も右手を出し、二人は握手をした。
とりあえずの交渉は成立した。
しかし、拓人にはもう一つ交渉したいというか、確認したいことがある。
握手した手を離さないで自分のほうへ引き寄せ、沙弓の耳元でコッソリと話す。
「もう一度ちゃんと話したいから今夜か明日の夜、時間取ってくれない? 」
「は?」
「今日か明日、どっちが空いている?」
「明日なら……」
でも、なんだかんだ言っても拓人は一週間後に総務部からいなくなる。拓人がいなくなったあとのことを考えると頭が痛くなる。
沙弓はこめかみを押さえてテーブルを見ていた視線をあげ、拓人を真っ直ぐ見る。
「ハッキリ言って、内田くんのことまでは面倒見れません。まあ、でも、内田くんはやる気満々ですから、本人に任せたらいいんじゃないですか? それで失敗したとしてもそれも一つの経験ですし。まあ、気が付いたら声はかけるようにしますけど」
「さすが、谷! 谷がいてくれるだけで俺は安心して人事部に行けるよ。じゃ、よろしくねー」
拓人が右手を差し出すから、沙弓も右手を出し、二人は握手をした。
とりあえずの交渉は成立した。
しかし、拓人にはもう一つ交渉したいというか、確認したいことがある。
握手した手を離さないで自分のほうへ引き寄せ、沙弓の耳元でコッソリと話す。
「もう一度ちゃんと話したいから今夜か明日の夜、時間取ってくれない? 」
「は?」
「今日か明日、どっちが空いている?」
「明日なら……」