二度目は誠実に
勤務時間中とはいえ、休憩時間なので、誘うことに問題はないが、入ってきたのが沙弓だったのが問題だ。

拓人は沙弓の出現にギクッとしたが、にこやかな笑顔を見せる。


「ああ、谷さん。ありがとう。助かったよ」


「いいえ、どういたしまして」


拓人の笑顔に対し、沙弓の表情は冷たいし、言葉には棘があるように感じられた。拓人を軽蔑したような瞳でも見ていたし。


「三上さん、ちょっとごめんね。谷、少しいい?」


「はい? 私すぐに戻らなくちゃいけないんですけど、急用ですか?」


「いや、そうじゃないけど」


「じゃ、すいません。失礼しました」


拓人は柊花を誘っているところを見た沙弓が気分を害したのではないかと気にした。

実際、沙弓の機嫌は悪かった。


「谷さん、どうしました? 顔がなんだか怖いですよ」


総務部に戻った沙弓は苛ついていた。原因は拓人だ。

何なのよ!

きれいな子を前にするとほんと軽いんだから!

誰とでも勝手に食べに行けばいいじゃないの!


「た、谷さん、なにか俺がミスでもしたかな?」
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