二度目は誠実に
「今日はほんと谷に付いてきて、良かったー」


「大石さん、今までこの味を知らなかったなんて損してましたね。谷さんに感謝ですね」


「うんうん、ありがとー。うん、うまい!」


「あ、いえ。別に……」


まだ興奮しながら食べている拓人は純粋に沙弓に感謝する。純太の言うとおり、本当に今まで損をしていたと思った。

二人が美味しいと言っていたサラダも拓人の口に合い、これもまた「うまい!」と絶賛。

純太は拓人と一緒に喜んでいたが、沙弓の表情が曇っているのに気付き、箸を止める。


「谷さん? どうかしました? 具合でも悪いですか? お腹痛いとか」


沙弓の変化に気付いたのは純太だけではなかった。拓人も気付いてはいたが、触れずにいた。

なんとなく自己嫌悪に陥っている……そんなふうに見えて、その原因が自分ではないかと感じ取っていたからだ。

だから、純太の沙弓への問いかけに箸を一瞬止めたが、気にしない振りをして、美味しそうに食べていた。
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