二度目は誠実に
「あ、ううん! なんでもない。うん、やっぱり美味しいよね」


心配そうに見ていた純太に笑顔を見せて、大きな口をあけて豪快に食べていく。

親子丼はいつもと変わらず美味しい。それなのに、味が分からないような顔で食べては失礼になる。しっかりと味わおう。

拓人は美味しそうに食べだした沙弓を見て、微かに微笑んだ。

一人で食べに行こうとしていたところに半ば強引に付いてきてしまったから、食べたいと言っていた親子丼をちゃんと味わってほしかった。

そうでなければ付いてきたことに後悔してしまうから。


「大石さんはもう研修は終わったんですよね?」


「うん。終わって、今は来年度の採用でいろいろやっているよ」


「ああ、そうなんですね! 次から次へと忙しいですよね」


「ほんと、デートする暇もないんだよねー。たまには女の子とのんびり食事くらいしたいのにさー」


沙弓は食べる手を休めないで、拓人と純太の会話を聞いていた。


「新入社員で気になる子、いました? あ、でも、大石さんだと年離れてますよね?」
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