二度目は誠実に
沙弓は頭を下げてエレベーターの前を通り過ぎ、階段へと行った。上の階が総務部である。拓人は沙弓が見えなくなってから首の後ろを掻いて、ドアを閉めた。
怖がっていないなら良かったと口元を緩ませる。
「あれ、谷さん? 今戻りですか? 先に行ったんじゃ……」
沙弓が上の階に行くと、ちょうどエレベーターから純太が降りてきた。
「ああ、ちょっと戻る前にトイレに行ってきたから」
階段の奥にはトイレがあったので不自然には思われない。拓人と数分だけだが、二人だけでいたと正直に話す必要はない。
変に勘繰られるのは嫌だった。
「今日、もう大石さんは来ないですかね?」
「まだ用があったの? だったら人事部……あ、でも今から会議みたいだったから、夕方にでも行ってみたら?」
「そうします」
拓人をこっちに呼ぶよりは純太から行って欲しかった。何となく気まずさを感じたので、今日はもう顔を合わせたくないと思い、沙弓は課長の文書を読み始めた。
怖がっていないなら良かったと口元を緩ませる。
「あれ、谷さん? 今戻りですか? 先に行ったんじゃ……」
沙弓が上の階に行くと、ちょうどエレベーターから純太が降りてきた。
「ああ、ちょっと戻る前にトイレに行ってきたから」
階段の奥にはトイレがあったので不自然には思われない。拓人と数分だけだが、二人だけでいたと正直に話す必要はない。
変に勘繰られるのは嫌だった。
「今日、もう大石さんは来ないですかね?」
「まだ用があったの? だったら人事部……あ、でも今から会議みたいだったから、夕方にでも行ってみたら?」
「そうします」
拓人をこっちに呼ぶよりは純太から行って欲しかった。何となく気まずさを感じたので、今日はもう顔を合わせたくないと思い、沙弓は課長の文書を読み始めた。