二度目は誠実に
「でも、出来ることならもう一人欲しいですよね」


三人で業務を回すのはやっぱりきつかった。新入社員を残業させるわけにはいかないので、必然的に二人の残業が増えていた。


「まあ、そうだな。総務部と兼任で誰かに来てもらうかな。でも、みんな忙しいよな」


「んー、でも、頼めば来てくれると思いますね」


「誰が適任だと思う?」


「谷とかどうですか?」


適任者で思い浮かんだのが沙弓だった。沙弓は元々仕事を進めるのが早いし、課長や純太が自分たちだけで出来るようになっていたから、その分余裕があるのではないかと考えた。


「なるほど、谷さんね。拓人、それ私情を交えてないか?」


「ばれました? っていうか、要さんに言われたくないですよ」


「だから、いちいちお前は一言余計だ」


「えー、要さんが言ってきたのに、もうずるいなー」


私情を交えているのはお互い様ということで、話は終わった。でも、沙弓に仕事が増えても大丈夫か聞いてみてと要に言われたので、拓人は話す口実が出来たと浮かれる。
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