二度目は誠実に
二日後の総務部。


「おお、大石くん。いらっしゃい!」


また歓迎するのは課長だった。純太は外出中で不在だったので、拓人は真っ直ぐ沙弓のデスクに向かった。歓迎してくれる課長には頭だけ下げた。


「谷、ちょっといい? あっちで話したいんだけど」


拓人の指差す方向にはミーティングテーブルがあった。ミーティングテーブルにはパーテーションもないので、変なことを言われることもされることもないはずと判断した沙弓は了承して、移動した。


「断られるかと思っていたからよかったよ」


「なんの話ですか?」


「最近仕事はどう? 忙しい?」


「はい? いえ、普通だと思いますし、忙しいというほどではないですね」


沙弓は拓人が何を話したいのか分からなかった。忙しいとか聞かなくても総務部にいたことがあるのだから、いつが忙しくていつが暇とか分かるだろうに。


「単刀直入に言うけどね。人事部に来ない?」


「は? 人事部?」


予想もしない話に沙弓は目を丸くした。
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