東と西の恋
仕事
その後、東雲の学校案内をさっさっと済ませ家に帰ってきた。
変えると私はすぐお父さんの仕事部屋に呼び出された。
こういう時はたいてい仕事の話だ。
部屋で仕事着に着替え、仕事部屋へ入る。
「ただいまお父さん。」
父の前に座る。
「お帰り 早速だがお前に仕事だ。
毎年近くで祭りがあるだろ。
それの見せ物である舞があるんだが、肝心の舞う人が全治三ヶ月の大怪我をしたらしい。
速くてあまり見えなかったらしいがなんでも、大きな犬のようなもので、目が赤く、黒い煙のようなもので覆われてたらしい。」
話を聞くだけじゃわからないけど確実に妖と言っていいだろう。
多分中級くらいのそこそこ力の持った闇に染まった奴…。
悪しき妖は、目が赤く光り、体の周りが黒い靄、瘴気で覆われてることが多いからすぐに判別がつく。
「そこでだ。月華には祭りで舞ってほしい。」
「ふぇ?!」
え?私はてっきり襲われた周辺などを主にパトロール、その妖を捜索し祓えと言われると思っていたが全くの的外れだった。
思わず変な声が出たよ。
「いやいやいやいやっ!なんで私?!他にも人がいるでしょっ!?」
「それがいないんだよ。
条件が10〜20代女性で舞を舞える人じゃないとダメなんだ。
その舞も三つあって一つ一つが難しくて体力もかなり使うからそこそこ舞えるだけじゃダメなんだ。
昔は一人二人いたらしいが今の時代じゃな。」
恨む!恨むぞ少子高齢社会!!
「分かった。代わりがいないんじゃ仕方ないし。やる。」
渋々と頷く。が、その後の父の言葉に私は頷いたことを後悔した。
「練習はその町の公民館でやるから明日から頑張りなさい。
何せ祭りが一週間後なんだから。
あ、その間パトロールは少しくらい休んでもいいぞ。」
な、んだと!
残り一週間しかないだと!!
舞は難しいんだよね!?
体力必要なんだよね!?
それを一週間でマスターしろとっ!?
鬼畜かよ!!
ええいっ!!頷いてしまったものは仕方がない!
死にものぐるいで覚えて完璧位以上のものにしてやるっ!
それから私は一週間文字通り死にものぐるいで頑張った。
少なくとも顔があまり見えないはずなのに東雲が私の顔を見て心配してオロオロとするくらいには頑張った。
見てて少し面白かった。