二度目の初恋
奥さんクリア!亮太もこのままクリア!かと思ったら

「聡」

亮太が呼び止めたのは私の前にいる時任さんだった。

時任さんが止まれば、私も止まる。

「亮太、素敵な式だった。本当におめでとう」

「ありがとう!」

2人が固い握手を交わしている。

その背後で私は「話しかけるなよ!私に気づくなよ!」と心の中で叫んでいた。

だが、その思いはむなしく・・・・・・

「あれ?なーんだそこにいたって・・・ん?え?もしかして・・・」

亮太は私と時任さんを交互に見ながらニヤリと笑った。

すると時任さんが私の肩を抱き寄せた。

「そうなんだよ~!俺たち意気投合しちゃってさ。な?」

な?って・・・私どう返事したらいいの?

時任さんを見ると「俺に合わせろ」と目で訴えてきた。

「そ、そうなの。なんか妙に話が合って、これが初対面とは思えないというか・・・」

私は時任さんの話しに合わせた。

すると亮太は何だかホッとしたように穏やかな表情を浮かべた。

「聡も円も俺にとって本当に大切な友達だから・・・嬉しいよ。
 本当に・・・・・・」

亮太は嬉しそうに私と時任さんの手を握った。

だけど私は嬉しくなんかない。だって亮太は大切な友達なんかじゃなかった

私にとって亮太は初恋で誰よりもその思いは強かったんだから。

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