二度目の初恋
帰宅後、塩谷から

『OKでました。モデルの件よろしくお願いします』と

連絡が入る。

俺はあたかも突然起こったかのように小芝居をうって

円を半ば無理矢理代役にさせた。


最初は単にモデルと円が似てたってだけで決めてしまったが

後でこれは良かったのかもしれないと思った。

失恋でふさぎ込んでいる気持ちが紛れるし

それに自分の魅力に気付いてない。

でもそれは仕方がないことかも知れない

人生のほとんどがlove亮太だったからな・・・

これがきっかけでもっと自分に自信が持てればと思った。

円を家まで送り届け自宅に戻ると俺はしおりに電話をした。


「・・・ってわけでモデルの代役を円が務めることになったんだけどさ、
モデルなんて初めてだしすっげー緊張してるだろうから面倒みてやってくんないかな?」

本当はこれ以上借りを作りたくはないがやっぱり女同士の方が何かと

はなしやすいと思ったからだ。

『ちょっと凄い展開になったわね。私は全然いいわよ。それに・・・
 私も一度円さんに会ってみたかったんだよね~~』

しおりの口調はとても楽しそうだ。

「ありがとうな。だけど・・・余計な事は言うなよ」

『余計な事って?』

わかっているのにわざと俺に言わせようとするしおりに対して俺は

「なんでもだ。後は・・・俺たちの・・・まあいいや。とにかく
 余計だなと思うことは一切言わなくていいから」

俺としおりが付き合ってた事を伏せた方がいいのかと一瞬迷ったが

あえて言わなかった。

『わかったよ。とりあえずは円ちゃんが良い仕事をしてくれるように
サポートするわ』

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