二度目の初恋
多少強引でも・・・そう決めて

円との初デートに挑んだ。

いい年した大人がデートプランをあーでもないこうでもないと

仕事以上に考えた末に出た作戦は

大きな封筒を自宅に置いてそれを持ってこさせ

帰ろうとする円をデートに誘う・・・だった。

こんなデートプラン、ちょっと前の俺なら絶対にやらなかったと思うし

細工なしで普通にデートを申し込めば良かったが何せ相手が

長年1人の男に片思いし続けた人だけに

少しは大人なデートを味わってもらいたかったと言うのが正直な思いだった。

だが結果はご覧の通り、部屋に俺一人とメモ一枚。


別にこのデートで押し倒しちゃおう!なんて事は考えてはいなかった。

だって円にとっては恐らくこれが人生初のデートだっただろうし

その記念すべき?!初デートで俺ががっついてトラウマにでもなったら

元もこうもない。

だけど・・・ここで話をしているときの円の様子が今までとちょっと

違っていた。

何というか・・・時々感じる熱い視線と、ふと目が合うと切なそうに目を逸らす仕草。

これが自分に向けられていることにドキドキして

それを悟られまいとワインを飲むピッチが早くなって

この有様。


どう考えたって大人なデートの終わり方じゃねーよな。

俺が酔わなければどうなっていただろう・・・

あー!こうしてればなんて考えても仕方がない。

とにかく、数時間後にはまた顔を合わすだろう。

その時に考えよう。


しかし・・・こんな広い部屋で一人でいるのはなんとも虚しい。

俺はゆっくりと立ち上がると

そのままチェックアウトをして自宅へと戻った。
< 113 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop