二度目の初恋
「時任さん。実は・・・私やっと亮太への気持ちに踏ん切りが付いたんです」

時任さんが喜んでくれるように私は笑顔を作った。

「え?」

時任さんは目を丸くし驚いた様子で私を見る。

「昨日帰りに亮太とばったり会ったんです。・・・今までだったら
亮太を見るだけで胸が苦しくて顔もまともに見れなかったのに
昨日は昔のように普通に話せたんです」

笑顔で話せば話すほど胸が重くなる。

でもこれ以上一緒にいたら亮太の時以上に辛くなりそうで

怖いし、迷惑も掛けられない。

「なので・・・もう大丈夫です。時任さんにこれ以上迷惑掛けられないので
今のこの家政婦の仕事もキャンセルしてください」

これでいい。

傷は浅い方が治りも早い。

それに私の存在がもし時任さんの恋の邪魔になっては申し訳ないから。

極力笑顔で話す私に対し時任さんの表情が険しくなる。

どうして?と思うのに聞けない。
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