二度目の初恋
午後8時に時任さんが帰宅した。

そしていつもの様に一緒に夕飯を食べる。

時任さんは今朝の事には何も触れずいつもの様に

会話を交えて食べるのだが私は緊張で会話が頭に入ってこない。



昼間、残りの契約期間どうやって乗り切ろうかといろいろと考えた。


夕飯の支度が済み次第お仕事終了。

一緒に夕飯をするのはもちろん、家まで送ってもらうのも

辞退しようと結論を出した。


だが、どのタイミングでこの話を切り出せば良いのか悩んでいた。


「・・・か・・・円?」

「あ・・・はい・・・」

「・・・心ここにあらずだね・・・で?今度は何?」

時任さんは頬杖をつきながらじーっと私を見る。

私は姿勢を正し、一度小さく深呼吸をしてから今日考えた事を

話した。


「却下」


即答だった。

「え?なんでダメなんです?もう亮太のことは吹っ切れました。
なので今までのように送ってもらう理由もないし、一人で帰れます。
それに・・・
仕事で疲れているのに送ってもらうのは申し訳ないんです」

私は必死に訴えた。

だけど時任さんは何も言わず首を横に振った。

「どうしてだめなの?」

願いが全て却下された私は強い口調で言い放った。

それに対し時任さんは私を睨むような目で

「それはこっちのセリフだ。何が不満なんだ」と言うと大きく溜息を吐いた。
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