二度目の初恋
「ごめんな」

「え?」

時任さんはベンチから立ち上がると私の前でしゃがむ。

「俺が中途半端なことするから・・・いろいろ悩ませてしまったんだよね?」

私は首を横に振る。

「違う。私が恋を知らなすぎただけで・・・」

すると今度は時任さんが首を横に振る。

「ううん。俺が焦ってたからだよ。家政婦としてうちに来てくれる1ヶ月の間で
何とかしたいと失恋の傷が全く癒えてない円にあれやこれやとかぶせてしまって・・・
でも・・・」

「でも?」

時任さんが私の手を取りゆっくりと立ち上がる。

「本当に亮太の事は吹っ切れた?」

確認するように問いかける時任さんに私は力強く頷く。

「正直、時任さんと一緒にいると亮太の事を思い出す余裕がなかったです」

「そう~。だったらこれからは円の心の中を俺でいっぱいにして欲しい。
勿論、俺の心の中は既に円でいっぱいだけどね」

照れくさそうに話す時任さんに胸がキュンとなる。

「もう・・・私の心の中は時任さんでいっぱいです」

時任さんは小さく頷くと一歩前へと近づいてきた。

私を見つめる目は熱をもっているかのように潤んで見える。

「俺は円の事を亮太から聞いていたときからもう好きになってたのかもしれない」

そういって時任さんはスマホを取り出すと一枚の画像を私に見せた。

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