二度目の初恋
時任さんは驚く私を目の前に話を続けた。
「ここ最近忙しくて家の事がほとんどできていないんだ。
たまの休日に片付けようと思ってんだけど
また今度また今度って言ってるうちに洗濯物のたまるし、飯はコンビニばかり、
だから正直助っ人がほしかったんだ~」
「はぁ~」
社長さんってやっぱ大変だな~と感心しながらも
あまりに突飛な提案に、他人事の様に聞いてしまっていた。
「どう?期間は亮太達が引っ越すまでの約1ヶ月。もちろん君は
プロの家政婦だから払う物は払うよ。その代わりに条件がある」
「条件?」
「亮太への思いを断ち切れ」
「え?」
時任さんの表情が険しくなる。
「いいか。あいつはもう結婚したんだ。思いを引きづったところで
誰も幸せになんかならないし、
大好きな人の為に今円が出来る事は、気持ちをリセットして次に進むことじゃないかって
俺は思うけどね」
時任さんの言ったてる事とは正しいし、私だって・・・
「出来る事ならそうしてるわよ。でもそれは理想よ。頭ではわかっていても
そんなに簡単にリセットできない」
唇を噛みしめ俯いた。
「じゃあこの先、叶わない恋に一生を捧げるって言うの?」
「それは・・・・・・」
私は『一生』という言葉に敏感に反応し咄嗟に顔を上げた。
すると時任さんが口角をあげた。
「嫌だろう?だったら俺の提案に乗ってみない?」