二度目の初恋
でも亮太を忘れるためになぜ私が時任さんの家政婦に?

別に時任さんじゃなくてもいいのではと思い、疑問を投げかけた。

すると時任さんは身を乗り出すように私との距離を近づけた。

「確かに顔を合わせずに済む程度に仕事をしていれば相手が
俺じゃなくてもいいかもしれないけど・・・普通に仕事しても
亮太のことを忘れられる?俺は1ヶ月で亮太のことを忘れさせる
自信があるから提案したんだ」


自信たっぷりに答える時任さんに圧倒された私だけど

20年近く好きだった亮太の事をたった1ヶ月で忘れさせてくれると

豪語するのならダメ元で試してもいいかなと思い始めた。

だが、一つ大きな問題があった。

それは私の働いてる家政婦紹介所が少し特殊だと言うことだ。

「あの・・・時任さんの申し出は凄く嬉しいんですが、一つ問題が・・・」

「問題?」

私は自分の働く『竹原家政婦紹介』が一般の所と違う点を説明した。

「――ですので誰かの紹介がなければいけなかったり、地位のある方・・・
簡単に言えばセレブと呼ばれている様な方がお客様なので・・・」

時任さんは黙って私の話を聞いていたが、特に困った様子はなく

「わかった。俺こう見えて交友関係広いし、そこの紹介所を利用してそうな人に
心当たりがあるから聞いて見るよ。・・・じゃあこの件、了承したってことでいい?」

「あの・・・」

「なに?」

他にまだあるの?と言いたげな表情に一瞬迷ったがどうしても聞きたいことがあった。

「なんで初対面の私にそこまでしてくれるんですか?」
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