二度目の初恋
「何だよ。びっくりしすぎ」

不愉快そうに私を見る理人の格好は

ニット帽をかぶり髪の毛はカツラなのだろう、実際より長いロン毛

Tシャツは海外のメタル系のバンドのもので

ジーンズも私以上に履きなじんだというより

履きつぶしたぐらいクタクタ感のある

アイドルの真逆のようだった。

「いや、びっくりします」

すると理人がクスッと笑った。

その顔はやっぱりかっこよくて、どんなに変装しても

やはりオーラだけは隠せないんだなと感心したが

そうじゃない。

自分の格好が理人と釣り合ってないからと言う理由が通用しなくなった。

「じゃ~行くぞ」

私の前をスッと横切って玄関へと向かう理人に私はもう何も言い返せなくて

断ることを諦めた。

でもこんな事柴田さんにバレたら怒られるんだろうな~~

私は小さく溜息を吐くとマンションを後にした。

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