二度目の初恋
亮太の友達なのはわかってるけど私の為にここまでしてくれる理由が知りたかった。

だってこんなことをして得することなんか時任さんにはないはずだから・・・

するとさっきまで穏やかだった時任さんの口角が弧を描くようにあがった。

「ん?だって面白そうじゃん」

「は?」

思ってもいない答えに開いた口が塞がらなかった。

「だってさ、俺と同い年で、亮太だけを20年近く思い続け、しかも自分は
結婚出来ると思い込んでたのにあっけなく玉砕。こんなイタい女初めてで
違う意味で興味持っちゃったわけ」

まさかそんな理由だとは思っておらず言い返す言葉も見つからず途方に暮れる。

「でもさ、俺単なる冷やかしで提案したわけじゃないよ。こう見えても
俺、凄く忙しい人だからさ。で?もう一度聞くけどどうする?イエスかノーか」

過信していたわけじゃないけど、時任さんは私の為にって思って

いただけに

正直ショックだったけど、下手な同情を買うよりよっぽど良いと思えた私は

時任さんの申し出に「イエス」と答えた。


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