二度目の初恋
「でも円が違うって言うならこれはガセだよ。だってただ並んで歩いているだけだし」

愕いている私に亮太はフォローを入れてくれる。

確かにキスしていたり抱き合っていたりしているわけではない。

ただ気になるのは、並んでいる二人の距離がめちゃくちゃ近いのだ。

二人の手が触れているようにも触れていないようにも見える。

スマホの画像を拡大すると逆に余計にぼやけてよくわからなくなる。

聡からはKUMIKOと仕事をしていることは聞いているし

2人は元々知り合いだから・・・楽しそうにしているのだろう。

そう思うしかない。

「うん・・・ガセ。っていうかこの二人今一緒に仕事しているの。だから亮太が心配するほどのことじゃないよ
気を遣わせちゃってごめんね」

亮太にスマホを返すと安心したように頷いた。

「いや、俺が変な事いっちゃったからさ~ごめん。でもさ、仕事でもスクープされるんだから
芸能人って大変な仕事だよな。外食だってきっと変装してんだろうな~」

亮太の言葉に私はさっきまで一緒にいた理人のことを思い出す。

夕食を食べに行くだけなのに理人はバレないように変装していたい。

こんな調子だったらもし恋人が出来たりしたらどうなる?

ちょっとした油断が命取りになりかねない。

そう思うと同時にそういう面倒な世界にいる人の家で働いてる私も

軽率な行動はしちゃいけないと思った。

今日は言われるがままだったけど家を出入りしている以上、

こんな私でも噂になってしまう可能性はなきにしもあらず

だから・・・行動には注意しなきゃと思った。
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