二度目の初恋
廊下の突き当たりに広々としたリビングがある。

いろんなお客様がいるが広いリビングを見る度に自分の6畳の狭い自室と比べて

ため息が出そうになる。

しかも今回は特にそう感じる。

同じ年に産まれ同じように成長し学校は違えど私も亮太も時任さんも大学を出ているのに

この生活レベルの差は何なんだろう。

亮太だってイラストレーターとして活躍して今新居を建設中だし・・・・・・

わたしは亮太にもフラれ、実家暮らしの6畳。

完全に負け組だ。

でも全部自分が望んだことだ。妬んじゃいけない。

気持ちを入れ替え私はリビングの入り口に立ち改めて一礼する。

「本日より時任様の担当をさせていただく小鳥遊ま-」

「挨拶は良いから座って」

私の挨拶を遮るように時任さんはソファを指さすとキッチンからマグカップを2つ持ってきた。

コーヒーの香ばしい匂いが広がる。

「はいどうぞ」

「ありがとうございます」

私はマッグカップを受け取った。

「俺、これから仕事に行っちゃうけど、何か聞きたいことある?」

といいながら財布を渡された。

「はい、あの・・・好き嫌いとかありますか?」

夕飯を作る上で嫌いな者は出せないので事前に聞いておく。

「にんじんとカボチャが苦手」

へ~甘い野菜が嫌いなんだ・・・とメモを取る。

すると慌てた様子で「あっ!でもカレーのにんじんは食べれる。小さく切ってくれたら」

とちょっと照れくさそうに言った。

それもメモした。


「今日は初めてなので夕飯のリクエストとかありますか?」

時任さんは「カレーライス」と即答。

「わかりました」

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