二度目の初恋
時任さんは一通りの説明を終えると仕事に行った。

一人になった私はエプロンをしてから改めて部屋を見渡す。

一人暮らしの男性のお客さんはいたけど

バツイチの会社役員や独身の弁護士さんとかもいたけどどの人も

中高年で今回のような若い人は初めて。

しかも同い年。

リビングは思ったよりも綺麗だけどよく見ると埃が見える。

窓だって大きくて立派だけど一度も拭いてなさそう。

洗面所、お風呂もチェック。

「うわっ!」

最初に驚いたのは洗濯機の前だった。

帰りが遅いと日付が変わる前と言っていただけあって洗濯する余裕はなさそう。

とりあえず洗濯機を回すことからはじめなきゃ。

白いものと色柄物を分けてまずは白いものを洗濯機に入れる。

そして洗剤を入れようとまわりを見るが

「あれ?もしかしてない?」

漂白剤と柔軟剤はあったけど肝心な洗剤がない。

もしかして買いに行かなきゃダメ?

それから私は洗面所、お風呂場、キッチン、トイレを一通りチェックし

必要な物をメモした。ついでに冷蔵庫をチェックした。

「え?からっぽ?」

冷蔵庫の中に入っているのは水と酒それにジャム。

いくらなんでもこれだけで料理は出来ないし

一体時任さんは何を食べて生きているのだろうと思いながら

スマホでこのマンションの近くにあるドラッグストアとスーパーをチェック。

時任さんから預かった財布を持って買い物に出かけた。
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