二度目の初恋
気を取り直した私はシートベルトを外すと

足下に置いたバッグを持ってドアをあける。

「じゃあ失礼します」会釈をして車から降りると

「ちょっと待って！」と時任さんに呼び止められた。

何だろうと思っていると時任さんが車から降りて私の方へ駆け寄ってきた。

「時任さん？どうか－」しましたかと言おうとした時だった。

時任さんがいきなり私を抱きしめた。

何が起こってどうなっているのかわからないのと人生初、男性に抱きしめられた私は

プチパニックで言葉が見つからずあわあわしていた。

「いいか。今から俺が話しかけてもただ黙って頷け」

そんな忠告受けなくとも既にパニックで言葉が出ない私は小さく頷いた。


「あれ？聡？どう－」

聞き慣れた声が聞こえた。


亮太？！


確認しようにも時任さんに抱きしめられていて声のする方を見ることが出来ない。

「げっ！亮太じゃん･･･っと･･･今晩は」

頭上で時任さんが話をしているが言葉の感じで亮太ともう一人誰かがいると

わかった。


奥さんだ。
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