二度目の初恋
すると時任さんがぐいっと私との距離を近づけた。

「あの……どうかし―」

「ねえ!モデルやってくんない?」

私の言葉を途中で遮ったかと思えばモデル?

「え?なにいってるんですか?わけわかんないんですけど」

「実は、予定していたモデルが事故にあって今日、キャンセルを申し出てきたんだ」

大変なことはわかるが次元の違う話をフラれても答えようがない。

「……はあ~」

「代役をモデルクラブに問い合わせたがこっちの希望したモデルは全てだめった。
だからといってモデルならだれでもいいというわけじゃなくて……それで
ずっと悩んでたんだ。だけど」

と言って私をじっと見たかと思うと急に口角を上げ時任さんは私の頬に触れた。

「な、なに?」

後頭部が車の窓にゴツンを当たるくらい顔を後ろに引く。

「円の肌ってすごくキメが細かくてモチモチしてて化粧のノリがよさそうなんだよね。
しかもそこそこ美人だし……だからさ、モデルやってくんないかな」

何気に褒められたけど……だからと言って即答できる内容ではない。

だってデモストレーションってしかもイベントでしょ

すっぴんから変身する一部始終を…

みんなに見られるんだよね。

「無理無理無理!そんなのできません」

元々人前に出るのが苦手なんだもん。

いくらメイクしてくれる人が有名な人だろうが無理。

ぜーったい無理
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