二度目の初恋
でも自宅前でこんな悠長に話をしてる暇はないのではと言うと

時任さんは我に返ったように慌てて助手席のドアを開けようと手を掛けた。


その時だった。

「あれ?聡と円じゃん。もしかして・・・デート?」

振り向くと亮太と奥さんが笑顔で立っていた。

しかも手をつないで・・・


その瞬間何だか気持ちが重くなる。

私まだまだ、吹っ切れてない・・・・・・

どんな顔して挨拶すれば良い?強ばったりしてないかな?

自分の亮太達への態度に自信がなく視線を落とすと、

時任さんが私の頭をくしゃっとした。

「残念だけど今日はデートじゃないんだ。でも、デートよりもっと凄く良いことがあるんだ~
ね?円?」

急に甘めの声で私の目をじっと見つめた。

私が黙って頷くと

亮太は首を傾げる「いいこと?」

そして時任さんはイベントの話をした。すると亮太達は驚いた様子で顔を見合わせると

「それ、俺たちも見にいってもいい?」ととんでもない事を言い出した。

「ええええ?!ちょ・・ちょっといいよ。恥ずかしいから来ないで」

本当は恥ずかしいとかじゃない。

今みたいな感じでラブラブな二人に見られるのが嫌なのだ。

だけどそんな私の気持ちなどわかっていない亮太達は行く気満々だ。

私は時任さんになんとかしてよと目で訴えた。

だが時任さんは

「いいよいいよ。おいでよおいで」と全く私の気持ちをわかってくれてなかった。

そして時任さんは時間だからと無理矢理私を車に押し込めるように乗せると

亮太達に「待ってるよ」といって車に乗り込むと車を発進させた。
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