二度目の初恋

「相変わらずのモテっぷりね」

後ろから女性の声が聞こえ、振り向くとそこには

あの人気女優の池下しおりが苦笑いをしながら腕を組み立っていった。

テレビや雑誌で見る人が今目の前にいることに驚いた私は

何も言い返せずにその場で立ち尽くした。

「お前が言うとどれも嫌みっぽく聞こえるのはなぜだろう～」

首に手を当てながらやれやれといった表情で時任さんが返事をした。

「あら～これでも褒めてんのよ」

池下しおりの言い方はまるで時任さんと面識がある･･････いや、それ以上の

付き合いがあるような言い方だった。

すると時任さんが私の事を思い出したかのように自分の横に立たせる。

「彼女、今日のピンチヒッターなんだ。こういうの不安になってるからしおり･･･
悪いけど彼女の事頼むよ」

ええええ？！今なんて言った？

こんな超が付くほど人気のある女優さんに思いっきり上から目線で

私を頼むって、いくら社長さんやってるからといって頼む相手を間違えているよ！

「時任さん！私は一人でだいじょうですよ。あ、あの･･････今、時任さんが
言ったこと忘れてください」

私は時任さんと池下しおりさんを交互に見た。

「いいわよ。聡の大切な人みたいだしね」

え？聡って･･･もしかして知り合い？っていうか大切な人？！

「ち、違います！私と時任さんはそんなー」

「そんなとこかな～。っていうか彼女があの円だよ」

否定もしなけりゃ『あの円』って何それ？

私は訳がわからず口をぽかん開けたまま再び二人を交互に見る。

するとしおりさんの目が大きく見開きながら驚いた様子で私を見た。

「え？彼女があの円さん？亮太の幼なじみの？」

え？どういうこと？なんで池下しおりが亮太のことを知ってるの？