二度目の初恋

初デート?!

デパートなんて久しぶりだな・・・

大体、こういう所で買い物なんかしないもん・・・・・・

敷居が高いというか服でも普段買う物より0が一つ多いし

化粧品だって・・・

綺麗にメイクしてもらっておいてなんだけど外資系のブランドの

口紅一つにしても買うことに躊躇してしまう。

こんなことを思う私って女子力欠けてんのかな?

もし彼氏でもいればもっと気合いをいれて頑張っちゃうんだろうけどな~

あ~ぁ・・・溜息が出ちゃう。

折角綺麗にしてくれたのに情けない。


やっぱり私にはデパ地下がぴったりかな。

彩りの綺麗な総菜やサラダを見て今後のレシピの参考にでもしよう。

そう思い下りのエスカレーターの方へ歩き出した時だった。


「円」

聞き慣れ男の人の声に振り向くと

亮太と奥さんだった。

「あっ。こんにちは」

私は亮太にというよりも奥さんに向かって挨拶をした。

奥さんの陽子さんは亮太に寄り添うように並び満面の笑みを浮かべながら

会釈した。

「さっきのイベント凄かったな。プロにメイクしてもらうとこんなにも
 変わるもんなんだって驚いたよ」

「そりゃどーも」

完全に吹っ切れていないのと、しおりさんから言われた

『好きだけど選ばなかった』が思い出され

私はどういう顔で話せば良いのかわからず

大人げなく素っ気ない態度を取ってしまった。

「おいおい、俺は褒めてんだよ。円がこんなに綺麗になったの見たもんだからさ・・・これ、買っちゃったよ」

亮太は、はにかみながら左手を挙げた。

それは私がメイクで使ったブランドの紙袋だった。

「土台が違うからこんなの買っても円さんみたいに綺麗になるとは思わないんですけど・・・」

陽子さんが恥ずかしそうに言った。

って事は亮太が陽子さんに買ってあげたんだ・・・
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