二度目の初恋
「なんだかすごい料理ですね」

さすがデパ地下というだけあってサラダ一つにしても目で楽しめる。

色使いの鮮やかのものや、レストランにでも出てきそうな料理がテーブルに並べられ

私にはとても作れそうにない物ばかり。

「本当は俺の手料理と言いたいところだけど作れないからさ…これで勘弁して」

時任さんは少し恥ずかしそうに言いながらワインの栓をゆっくりと開け

グラスに注いだ。

でも…ちょっと待って!

時任さんがワインを飲んだら帰りはどうしたら…

っていうかタクシー使えばいいことじゃん。

だめだな~。いつも送ってくれるからそれが当たり前だって思いかけていた。

2つのグラスにワインが注がれた。

そして自然とワイングラスを持ち上げる。

「今日は俺のわがままを聞いてくれてありがとう。お陰でイベントは大成功」

「いえいえ私はただ座ってただけです」

首を横に振る私に時任さんはニコッと笑った。

「それでもすごく助かったよ。ありがとう」

―カチン

グラスが音を鳴らし乾杯した。
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