二度目の初恋
それから私たちは料理とワインを楽しんだ。

想像通り、とても美味しい。

時任さんとイベントの話をしていた。

だが気になっていることがあった。

それは…視線の先にある伏せられたフォトフレームだった。

写真に写っていたのは時任さんと亮太。そいて…池下しおり

しかも時任さんはしおりさんが好きで…でも振られた。

だけど未だに忘れられないっぽい。

だって吹っ切れたらあの写真伏せない…と思う。

う~~~気になる。気になるけど聞けない。

それに聞いたからってどうなるんだ?

時任さんの過去が何だろうがいまだに未練が残っていようが

私に関係ある?確かにしおりさんとのことを聞いたときは

なんだか胸の奥がズキンとしたけどそれは時任さんも経験者なんだって

自分の事のように思ってのズキンだと思う。

だから古傷をえぐるような真似はいけないと思うんだけど

自分でもわけわかんないけど気になるんだよ。

あ~~フォトフレームなんか見なきゃよかった。

私はフォトフレームをちらりと見ると小さくため息をついた。


「そんなに気になる?」

時任さんは自分の真後ろにあるフォトフレームを指さした。

「え?あの…いや…その…」

はいそうですだなんて言えるはずなくどう返事したらいいのあたふたする。

すると私の半分になったグラスにワインを注ぐとニヤリと笑いながら

「顔にでてる」と言った。

そして上半身を捻らせ伏せたフォトフレームを取り、

テーブルの真ん中に置いた。

時任さんはワインを一口飲むと頬杖をつきながら私を見つめた。

「・・・見たよね」

時任さんの小さな溜息が聞こえ私はヤバいと思った。
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