二度目の初恋
何でこうなったのだろう-


時任さんがお酒を飲んだ時点で送ってもらうことは無理だとわかったから

タクシーで帰ろうと決めていた。

時任さんは、『好きな人は・・・いるよ。片思いだけどね』と言った。

気にはなったが、相手が誰かだなんて聞けるわけないから

なんとなくスルーしちゃったんだけど

その後、時任さんはお酒が入っていたからなのか、何事もなかったかのように仕事や

学生時代の面白いエピソードを話してくれた。

その話がまた面白くて聞き入っていたらいつのまにか

日付が変わっていた。

「やだ、もうこんな時間。すみません、こんな長々とお邪魔してしまって・・・
私、今日はタクシー拾って帰ります」

慌てて椅子から立ち上がった。

そしてソファーの足下に置いておいたバッグを取ろうと手を伸ばすと

それを拒むように時任さんが私の手を掴んだ。

「時・・・任さん?」

「いくらタクシーを呼ぶからと言ってもこんな時間に君を一人で帰すわけにはいかないよ」
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