二度目の初恋
自問自答しながらも答えが見つからずその場から動けなくなっていた。

すると時任さんがなにやら服らしき物を持ってきた。

「こんな物ぐらいしかないけど・・・パジャマ代わりに使って」

と私に差し出したのはフードのついたスウェットの上下。

「それと、お風呂もね。使い方は・・・毎日掃除してくれてわかってると思うから説明は省くよ。
時間も遅いから先に入ってくれ。あと寝るときは俺の寝室を使ってくれ。
俺はやらなきゃいけない仕事が残ってるから・・・」

時任さんは一通りの説明をすると私の手の上に着替えを乗せてソファに座った。

うわっ!なんとなく受け取っちゃったけどこの時点でお泊まり確定だよね。

しかも、俺の寝室って・・・無理無理無理

「服はありがたいですが寝室は使えません。私がソファーで寝ますから
時任さんは寝室をお使いください」

時任さんはクビに手を当てながら私を見上げると溜息を吐いた。

「こういうときは『え?いいんですか~。ありがとうございます』って言った方が
かわいいよ」

そんな事言える余裕があったらきっと私の人生は変わっていたと思う。

「・・・・・・努力します。でもー」

「とりあえず、今日はもう遅いから先に風呂に入ってきてよ」

「・・・」

躊躇する私に時任さんが低いトーンで「命令だよ」と言われ渋々だが

従った。
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