二度目の初恋
掃除の度に思っていた。

この家の風呂は広々としていてバスタイムはさぞかしまったりできて

一日の疲れもとれちゃうんだろうなと・・・

それに浴槽側に窓があり、ここは高層階だから夜ともなれば建物や街灯、

車などの光が夜の町を照らし

素晴らしい夜景が一望できるんだろうな~すごいな~~うらやましいな~~と思っていた。

実際は想像以上に素晴らしい夜景だ。

でも、急な展開でここに泊まることになった私は緊張のあまり湯船につかって夜景を見ても

一日の疲れが取れるどころかこの後どうしたら良いのだろうと考えていたせいで余計に疲れて

のぼせそうになってしまった。


「・・・・・・お風呂ありがとうございました」

初めて男性用の服を着たが、時任さんから借りたスウェットの上下は大きくて

袖と裾を曲げウエストは紐で調整した。

「風呂、随分長かったけど大丈-」

パソコンの画面から私の方に視線を移した途端時任さんの言葉が途切れた。

「ご、ごめんなさい。夜景が綺麗で見入ってたらのぼせそうになって・・・」

本当は違う意味で逆上せそうになったけどと心の中で一人ツッコミをする。

だが、時任さんの顔がみるみる赤くなっている。

「時任さん?」

「あっ!や、夜景ね・・・っていうか大丈夫?冷たいお茶か水飲む?」

時任さんはソファから立ち上がろうと腰を上げたが「あっ、いいです。自分でやりますから」と

言ってミネラルウォーターをいただいた。

だけど、何だか凄く視線を感じる。

視線を合わすとハッとしてパソコンに視線を戻す。

・・・私何かした?

聞いてみたいけど、仕事の邪魔はしたくないし・・・
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