二度目の初恋
え?デート?ってことはもしかしてこれって先日時任さんが言っていた『恋愛ごっこ』?

急にデートって言われても・・・

仕事中に呼び出された私の服装はカジュアルなチェックのシャツに

スキニージーンズ。とてもデート向きの服装とはいえない。

時任さんはというとヘンリーネックのTシャツにカジュアルなジャケットと細身のパンツ姿だが

イケメンだからかっこよさも2割増しなのだ。

しかも、さっきから待ち合わせ場所で人を待っているであろう人の視線が

痛いのだ。

そりゃ~そうだ。こんなにかっこいい人が私の手を握って歩いてんだもん。

「時任さん、ちょっと待って」

私は足を止める。

「ん?どうした?」

「あの・・・デートって・・・先日言ってた例のあれですよね」

さすがに恋愛ごっこと口にするのが恥ずかしくて『あれ』と言うと

時任さんはにこっと笑って頷いた。

・・・やっぱり

「わかりました。でも・・・そうならそうと一言いってくれたら・・・」

着替えを用意してこれたのに・・・私は自分の服装を見て溜息をついた。

「じゃあ、最初にデートしようって言ったら来てくれた?」

デートって言葉に重みを感じてきっと断っただろうと思った私は

首を横に振る。

時任さんは「だからだよ」というとまた歩き出す。

「え?ちょっと話は終わってないですよ!」

と半歩後ろで歩く私が訴えると時任さんは前を向きながら

「大丈夫だからついておいで」と言いった。
< 74 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop