二度目の初恋
袋のロゴを見ると誰もが一度は聞いたことのある高級ブランドの袋だった。

私が今まで受け持ったお客様の家では見慣れたブランドだったけど

私には無縁。

それが今目の前に、しかもそれが私へのプレゼントだなんて

嬉しいという気持ちよりもこんな高価な物は頂けないという気持ちの方が大きかった。

「時任さん…」

「なに?」

「こんな高価な物、もらえません。もらう理由が…わかりません」

喜んでもらった方が女としては可愛いのだろうけど…疑似恋愛でここまで

してもらうわけにはいかなかった。


だが、時任さんは私の言葉を受け入れてはくれなかった。

「理由ならあるよ…似合ってたから、もう一度着てもらいたかったんだ」

私の目をじっと見つめる。

え?似合ってた?

「あの…似合ってたって…どういう-」

「だから、みてごらんよ」

時任さんが紙袋をもう一度指さす。

私はためらいがちに袋から服を取り、広げてみた。

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