二度目の初恋
確かにほとんど家にいる亮太が女性と出会う機会があるとすれば

ネットだろう。

実際にネットで知り合って結婚するカップルも少なくない。

だが、自分のまわりにそういう人はいなかったし

正直なぜネットなのだという思いもあったがとりあえず

俺の気持ちは置いといて亮太の話を優先することにした。

「まあ・・・今の時代じゃ~珍しくないし、お前が結婚したいくらい
好きになった人なんだろ?めでたいことじゃないか。
で?相談ってなに?式の事か?俺に出来る事があれば
何でもやるよ」

亮太は苦笑いをしながら小さく溜息を吐いた。

「いや・・・そういう事じゃないんだ。相談というのは・・・
円のことなんだよね」

歯切れの悪そうな口調で亮太は話を続けた。

「うぬぼれとかそう言うんじゃないんだけどさ・・・多分、円は
俺の事が好きだと思うんだ」

「・・・いや、今までお前から円さんの話を聞く限り俺は両思いだと思ってた」

どう考えても会話の中に度々登場するくらいだ、好きじゃなきゃ

話にも出ないし、正直円以外の人と結婚するって方がびっくりだ。

亮太は泣き顔にも似た表情で小さく頷く。

「だよね。普通はそう思うよね。実際・・・好きだったときもあったのは事実だし」

「じゃあ、なんで?」

「・・・円のことは大好きだけど、愛しているかって言うとそうじゃないというか・・・
家族みたいな・・・そんな存在で・・・」

どうにも出来ない苦しさが伝わってきたが

「残酷だな」

俺は亮太の気持ちに賛同出来なかった。
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