二度目の初恋
『だってさ・・・私と別れてから彼女が出来たって聞いたことなくて・・・
 ずっと気になってたんだよ。でもさ・・・その相手があの円ちゃんでしょ?
私はてっきり亮太君とって思ってたからさ・・・ねえ聡、それって同情とかじゃないよね』

しおりは俺の事を心配して聞いたのだろうが

いくら恋愛から縁遠い生活をしてたからって、俺だって愛情と同情の違いぐらいわかってる。

「あ~大丈夫だよ。好きじゃなきゃここまでしねーよ」

ボソッと呟く様にいうとスマホごしから

キャー聡のくせにと言われ、励まされてんのかけなされてんのかわからなくなった。

『わかった。私全力でさがさせてもらうわ~』

「わり~な。・・・ところでさ・・・しおりの方はどうなんだよ。誰かいいやついんの?」

『私?エヘヘ・・・いるよ。だけど聡と同じ片思い。お互い頑張ろう~って事で』

しおりはマネージャーに呼ばれたみたいで電話は切れた。



電話が切れると俺は大きく息を吐いた。

仕事以外でしおりとこんなに長く話をしたのは本当に別れて以来かもしれない。

ふと伏せられたフォトフレームに目を向ける。

最初に伏せたのはしおりと別れた直後だった。

踏ん切りがついても伏せたままだったのは特に理由はなかった。

だけどまた伏せておく理由が出来た。

もし円がこれをみたら亮太を思い出すだろう。

伏せられたフォトフレームが起きるのは円が亮太のことを吹っ切れたときかもしれない。

そんなことを思いながら俺は大きく背伸びをした。

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