ダブル王子さまにはご注意を!





「……あんた、誰だ?」

「…………」


ものすご~く失礼なことを言うやつは、当然一樹しか居ないってもんですよ。


「……悪かったわね、化けすぎて」


名札と顔を何度も確認するアホはともかく、もう一人。一樹以外の人が来るなんて聞いてなくて、ついつい無愛想になりたくなる。


「ごめんなさい、中西さん。わたしが一樹くんに無理にお願いしたんです。またあなたとお話ししたくて……
このあいだはあまりお話し出来なかったですから」


そう話すのは車椅子に乗った彼女――藤井郁美さん。

あれから一樹が訪れるのは彼女が先で、割く時間も断然多い。私はあくまでもオマケで、顔を出す程度。メインが彼女なら仕方ない……と思っても、何だか胸がモヤモヤする。


けど、時間をどう使うかは一樹の勝手だし。ただでさえ忙しそうな彼を、わがままで引き留めるなんてできないもんね。


にしても、と私は思う。


藤井さんと一樹は知り合いで……どうやら二人とも相思相愛っぽい。仲むつまじい様子をやさぐれながら見てたけど、どうやって知り合ったんだろう? 身体が弱い藤井さんはずっと病院にいて、一樹は6歳でここから引っ越ししたみたいだけど。


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