ダブル王子さまにはご注意を!
思い出とたからもの
はぁ、とため息を着く。
ついさっき警察の事情聴取が終わったところで、ほんのちょっとだけ緊張が緩んだ。
「ま~厄介なことに巻き込まれたな、あんたも」
ぼさぼさ頭でヒゲを生やし、ネクタイも緩んだような。ぶっちゃけだらしないおっさん刑事がタバコをくわえながら喋り、看護師の小久保さんにチョップをされた。
「日下部さん! 病室は禁煙だと何度も言わせないでください」
目をつり上げた小久保さんに日下部という刑事は渋々タバコを箱に戻して、代わりに棒つきキャンディを口に突っ込んだ。
「あの、日下部さん。厄介なこと……って?」
「ん? あんた知らないのか」
キャンディを舐めながらポケットに手を突っ込んだ彼は、椅子によっこいしょと座る。
「幸村 夏樹と一樹兄弟が、フリューゲル王国のシュトローム王家の人間ってこと」
「え……」
何の、冗談? そう言いたかったのに、日下部刑事は淡々と事実を告げた。
「ま、一応トップシークレットだからな~。二人が王家の人間ってのは……まだお国でも公表されてねえし……って!」
今度こそ、小久保さんのチョップが日下部刑事の頭にヒットした。
「日下部さん! そう簡単にべらべら喋らないでください」
角を生やした小久保さんの物言いに違和感を感じて、思わず問いかけた。