ダブル王子さまにはご注意を!
「え?」
マリエラさんが何を言いたいのやら、私にはさっぱりわからない。
「ご兄弟はきっとあなた様だから近づいたのですよ。今はまだお気づきではないのかもしれませんが……」
「ま~あのひねくれた長男に気に入られたんだ。気の毒だが頑張れ! って言うしかないわな」
キャンディーを頬張ったまま、日下部刑事が無責任な励ましをしてくる。
「は? 長男ってもしかして夏樹のこと? あいつが私を気に入ったって……ナイナイ、絶対にないから」
夏樹は最近は忙しいのかあんまり来ないけど、くる度にチクチクといろんな嫌味を言われ脅されてる身からすれば、どこがだよ! って言いたくなる。
「あいつがストレートに好きだとか言うタマか? ひねくれ過ぎて逆に一周回っちまってんだよ。好きなやつには意地悪してえ、ってどこの小学生だ! って言いたくなる態度しか取れねえ可哀想なやつなんだよ、昔ッから」
「え、日下部刑事は昔から二人を知ってるんですか?」
「ま~な。二人がガキの頃はオヤジが担当してて、その後はオレが引き継いだからな~手のかかる弟みてぇなもんだ」
「!」
また、二人の子ども時代を知る人がいた。思わずベッドから立ち上がって彼に詰め寄った。