ダブル王子さまにはご注意を!
「え、お母さん夏樹の味方じゃなかったの?」
意外なお母さんの発言に、耳を疑いそうになる。
「そりゃ、あれだけイケメンで細かな気遣いが出来てしかもお金持ちでしょ。義理でも息子になってくれたら自慢できるわ~」
ポッと頬を染めるお母様よ……本音が駄々漏れですな。
「けどね」
お母さんは真顔になると、私をじっと見つめてきた。
「それはあくまで母さんの感想。けど、真由理の気持ちは別よ。真由理、あんたが嫌ならあたしは反対するわ」
「え、そうなの?」
「そんなの決まってるじゃない。母親はいつだって娘の味方だし、しあわせを願っているものよ。
いくら稀にみる幸運で理想的な相手に見初められたとしても、気持ちがついていかなきゃ不幸になるだけよ。
ちゃんとあなたには愛があるしあわせな結婚をしてほしいもの」
「お母さん……」
そこまで私を想ってくれていたなんて。てっきり安易に懐柔されてたとばかり思ってたのに……。
香織や梨花からの思い遣りもあって、思わず涙がにじんでゴシゴシと目元を拭った。
「ありがとう……お母さん……香織……」
照れくさいけど、二人にはどうしてもお礼を言っておきたかった。